フリーランスとして仕事を受けるだけでなく、デザインの一部やコーディング、記事の下書きなどを別のフリーランスに頼むことがあります。そのとき自分は「守られる側」なのか、それとも「頼む側として守る義務がある側」なのか。この記事では、条文の主語の違いを手がかりに、外注を出す前に文字で残しておきたい項目を整理します。
1. 条文は何と言っているか
- 定義(第2条):「特定受託事業者」は、従業員を使用しない個人、または代表者1人以外に役員がおらず従業員も使用しない法人です。発注側の「特定業務委託事業者」は、従業員を使用する個人、または役員が2人以上いるか従業員を使用する法人を指します[1]。
- 取引条件の明示(第3条):条文の主語は「業務委託事業者」で、業務委託をしたら「直ちに」、給付の内容・報酬の額・支払期日などを書面か電磁的方法で明示しなければなりません[1]。
- 支払期日(第4条):給付を受領した日から60日以内で、できる限り短い期間内に定めます。再委託の場合は、元の委託の支払期日から30日以内という特例があります[1]。
- 禁止行為(第5条):条文の主語は「特定業務委託事業者」で、1か月以上の業務委託が対象です(施行令第1条)[1][2]。
2. 平易な言い換え:条文ごとに「主語」が違う
ポイントは、第3条の主語(業務委託事業者)と、第5条などの主語(特定業務委託事業者)が別の言葉になっていることです[1]。どの義務が自分に及ぶかは条文ごとに確かめる必要があり、「一人でやっているから何も関係ない」と決めつけるのは危険です。一方で、どの形が主語のどちらに当たるかの最終的な判断は、条文と公的機関の説明で確認してください[3]。
| 確認すること | 見る条文 | メモ |
|---|---|---|
| 自分は従業員を使用しているか(役員の人数も) | 第2条 | 発注側の区分の入口。数え方に迷ったら公的機関の説明を確認 |
| 頼む相手は従業員を使わない個人・一人法人か | 第2条 | 相手が対象かどうかで、後の条文の話になるか決まる |
| 頼む内容・報酬・支払期日を直ちに文字にしたか | 第3条 | メールやチャットでも可。相手に書面を求められたら交付 |
| 支払期日は納品を受けた日から60日以内か | 第4条 | 自分が元請けから再委託で受けた仕事なら特例も確認 |
| 1か月以上の委託で、減額・やり直しなどをしていないか | 第5条 | 主語が「特定業務委託事業者」の条文 |
3. 具体例:自分の請け仕事の一部を外注するとき
数字は説明用の仮の例です。自分が元請けから受けた仕事のうち、イラスト部分を別のフリーランスに頼むとします。
| 項目 | 外注の依頼文で書く内容(例) |
|---|---|
| 業務内容 | イラスト3点(サイズ・納品形式・修正回数の上限) |
| 報酬の額 | 税込◯円(追加修正の費用の扱いも) |
| 納期・支払期日 | 納品日の翌月末など、具体的な日付またはルール |
| 元請けとの関係 | 元請けからの再委託であること(支払期日の特例の確認に使う) |
再委託で元の委託の支払期日などを明示した場合、外注先への支払いは元の支払期日から30日以内となる特例があります[1]。自分に元請けからの入金が先に来るとは限らないため、入金予定と外注先への支払予定を並べて確認しておきましょう。受け取る側の見方は再委託の支払期日の記事、日付の数え方は支払期日チェッカーで確かめられます。
4. 頼む前のチェックリスト(コピー用)
- □ 相手が従業員を使わない個人・一人法人かを、契約前に確認した
- □ 依頼内容・報酬額・支払期日を、メールかチャットか書面で文字にした(第3条)
- □ 支払期日が、納品を受けた日から60日以内に収まっている(第4条)
- □ 元請けからの再委託の場合、その旨と元の支払期日を整理した
- □ 1か月以上の委託では、後から減額・やり直しを求めない前提で、修正の範囲を最初に決めた(第5条)
- □ やり取りの日付を残している(日付の記録表)
5. 外注先への依頼文例(コピーして使えます)
条件を文字で伝える際に抜けがないかは、明示事項チェッカーに貼り付けて確かめられます。自分の取引が新法の対象かは対象チェッカーや発注者の要件の記事も参考にしてください。
6. 外注費の支払いと入金のずれに備える
外注先への支払いが先に来て、元請けからの入金が後になると、資金繰りが苦しくなります。請求書の支払いを早められるサービスを、選択肢として知っておく人もいます。
利用条件・手数料・審査はサービスごとに異なります。申し込む前に公式サイトで最新の内容を確認してください(本記事では条件や手数料を評価・断定していません)。
まとめ
外注を出すときは、①条文ごとに主語が違うこと(第3条は業務委託事業者、第5条は特定業務委託事業者)、②依頼内容・報酬・支払期日を直ちに文字にすること、③支払期日を受領日から60日以内(再委託は特例も確認)にすること、の3点を押さえましょう[1]。自分がどの区分に当たるか迷うときは、公的機関の相談窓口に確認するのが確実です[3]。
出典(一次資料)
- 特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(令和5年法律第25号)第2条(定義)・第3条(取引条件の明示)・第4条(報酬の支払期日等)・第5条(禁止行為) — e-Gov 法令検索
- 特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律施行令(令和6年政令第200号)第1条 — e-Gov 法令検索
- 公正取引委員会「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」 — 公正取引委員会/厚生労働省「フリーランスとして業務を行う方・フリーランスの方に業務を委託する事業者の方等へ」 — 厚生労働省
本文の説明は上記の条文を分かりやすく言い換えたものです。制度は改正されることがあるため、最終的な判断は原文をご確認ください(参照日: 2026-09-25)。