請求書は10万円なのに、入金は99,780円だった。差額は振込手数料のようだ――そんなとき、「少額だし仕方ない」と流すか、確認するか迷う人は多いはずです。この記事では、フリーランス法第5条の「報酬の額を減ずること」の条文を言い換えたうえで、手数料の差し引きに気づいたときに確認する書類と、問い合わせの文例を整理します。結論を決めつけるのではなく、「何を見れば判断材料がそろうか」に絞ります。
1. 原文の確認:第5条の「報酬の減額」
特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス法)の第5条第1項は、1か月以上の業務委託をした特定業務委託事業者に対し、禁止行為のひとつとして「報酬の額を減ずること」を挙げています[1]。1か月以上という期間は施行令第1条で定められています[2]。条文には、この禁止が及ばない場合を定める但し書きなどの細かな要件があります。上は要約ですので、全文は出典の条文でご確認ください。
2. 平易な言い換え:何が・誰に・どうなる
- 誰が:従業員を使う事業者などの発注側(特定業務委託事業者)。
- 誰に:従業員を使わない個人や、代表者1人だけの法人(特定受託事業者)。
- 何を:いったん決めた報酬の額を、あとから減らすこと。
- いつから:業務委託の期間が1か月以上のとき。
では「振込手数料を引いて振り込む」ことはこれに当たるのでしょうか。この点について、本サイトの出典台帳に登録している条文・公的ページの範囲では、手数料の扱いを個別に示した記述は確認していません。そのため本記事では当たる・当たらないを断定しません。発注側が手数料を負担する約束だったのか、受注側が負担する約束だったのかで状況が変わるため、まず合意の中身を書類で確かめることが出発点になります。
3. 具体例:入金額が合わないとき、確認する3つの書類
仮の数字の例です(実在の取引ではありません)。
| 項目 | 金額・内容 |
|---|---|
| 請求書の合計 | 100,000円 |
| 入金額 | 99,780円 |
| 差額 | 220円(振込手数料と思われる) |
まず差額の理由を推測で決めず、次の3つを順に見ます。
- 契約書・業務委託の条件:振込手数料の負担者が書かれているか。
- 発注書・取引条件を明示したメールやチャット:第3条で発注側が明示する事項(報酬の額・支払期日など)に、手数料の扱いが含まれているか[3]。
- 自分の請求書:「振込手数料はご負担ください」などの一文を書いたか、書いていないか。
3つのどこにも手数料の扱いがないときは、「減額」なのか「手数料の精算」なのかが分かれ目になります。判断に迷うときは、公正取引委員会・厚生労働省の相談窓口や専門家に確認してください[4]。違反の事実があると考えるときは、第17条の申出という制度もあります[5]。
4. 問い合わせ文例(責めずに、事実と確認だけ)
いきなり「違法です」と書くと、やり取りがこじれやすくなります。事実と確認事項に絞った例です。
件名:○月分のご入金額について(ご確認のお願い)
お世話になっております。○○です。
○月○日付の請求書(請求額 100,000円)に対し、
○月○日のご入金が 99,780円でした。差額は 220円です。差額の内訳(振込手数料のお取り扱い等)を
ご教示いただけますでしょうか。
今後の請求書にも反映できるよう、お取り扱いの方針も
あわせて教えていただけると助かります。どうぞよろしくお願いいたします。
返信は文面で残し、日付とやり取りを記録しておくと、あとで申出や相談をするときの材料になります。記録のしかたは報酬を一方的に減らされたときの確認手順、督促の考え方は支払い督促メールの書き方・文例が参考になります。入金日の確認は支払期日・遅延チェッカーでもできます。
5. チェックリスト:入金額のズレに気づいたら
- □ 請求額と入金額の差額を、円単位で計算した
- □ 契約書・発注書・メールに手数料の負担者の記載があるか確認した
- □ 自分の請求書に手数料の扱いを書いていたか確認した
- □ 業務委託の期間が1か月以上かどうか確認した(第5条の対象かどうか)
- □ 差額の理由を、推測でなく文面で確認した
- □ 次回以降の請求書に手数料の扱いを明記することを検討した
- □ 継続する差額がある場合は、日付と金額を記録した
6. 次の請求書で防ぐ:条件を最初に決めておく
手数料の差し引きは、契約や請求書の段階で扱いを決めておけば避けやすい問題です。契約前に確認する項目は契約前に確認する8項目と確認メール文例にまとめています。
また、入金額を毎回きちんと照合できると、小さなズレにも早く気づけます。報酬の受け取りまで含めて整える手段として、たとえばフリーランスの請求書を即日払い【FREENANCE】(広告)
のようなサービスもあります。対象となる取引や手数料などの条件は、公式ページで必ず確認してください。
まとめ
入金額が請求額より少ないときは、第5条の「報酬の額を減ずること」に当たるかを決めつける前に、契約書・発注書・自分の請求書の3つで手数料の取り決めを確かめます。理由は文面で確認し、記録を残し、迷うときは公的な相談先を使います。
出典(一次資料)
- 特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(令和5年法律第25号)第5条(禁止行為) — e-Gov 法令検索
- 特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律施行令(令和6年政令第200号)第1条 — e-Gov 法令検索
- 同法第3条(取引条件の明示) — e-Gov 法令検索
- 公正取引委員会「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」 — 公正取引委員会/厚生労働省「フリーランスとして業務を行う方・フリーランスの方に業務を委託する事業者の方等へ」 — 厚生労働省
- 同法第17条(申出等) — e-Gov 法令検索
本文の説明は上記の条文を分かりやすく言い換えたものです。制度は改正されることがあるため、最終的な判断は原文をご確認ください(参照日: 2026-09-25)。