「来月からの契約は今回で終了でお願いします」――続いていた仕事の打ち切りを、事前の相談もなく告げられて困った経験はないでしょうか。フリーランス新法には、一定の期間続いている業務委託を発注事業者側が終わらせる際、事前に予告することを求めるルールがあります。この記事では、その考え方と、予告なく契約終了を告げられたときにできることを解説します。
中途解除・不更新の予告ルールとは
フリーランス新法では、政令で定める期間(6か月)以上継続している業務委託(「継続的業務委託」)[2]について、発注事業者が契約を途中で解除したり、更新しないことにしたりする場合、少なくとも30日前までに予告することが求められています[1]。災害など発注事業者の責めに帰せない、やむを得ない事情がある場合は例外とされていますが、通常の業務量の都合や発注方針の変更といった理由だけで、当日いきなり打ち切られることは想定されていません。
また、この予告がされた日から契約が満了する日までの間にフリーランス側が理由の開示を請求した場合、原文(フリーランス法第16条第2項)では「特定業務委託事業者は…遅滞なくこれを開示しなければならない」とされており、理由の開示は努力義務ではなく発注事業者の義務です[1](第三者の利益を害するおそれがある場合など、省令で定める例外があります)。「なぜ終了になるのか」を書面やメールなど記録に残る形で確認できる、という点は覚えておくとよいでしょう。理由開示を求める書面の書き方・文例はこちらの記事で詳しく解説しています。
予告なく「今日で終了」と言われたら
もし事前予告なく契約終了を告げられた場合、感情的に反論する前に、まずは次のような事実関係を記録しておくことをおすすめします。
- 契約(業務委託)がいつから続いているか(継続期間が6か月以上かどうか)
- 終了を告げられた日時と、実際の契約終了日
- 終了を告げられた際のやり取り(メール・チャットのスクリーンショットなど)
そのうえで、発注事業者に対して落ち着いたトーンで「予告期間や理由について確認させてください」と書面(メール等)で問い合わせるのが、関係を大きく損なわずに事実確認を進める一般的な進め方です。話し合いで解決しない場合は、フリーランス・トラブル110番や公正取引委員会・中小企業庁の相談窓口の利用も選択肢になります。
契約開始日・告げられた日・終了予定日を入力するだけで、予告日数が原則30日に対して足りているかを自動計算し、確認文書のたたき台も作成できる無料ツールを用意しました。
そもそも取引条件を書面で残しておく
中途解除の予告ルールをめぐるトラブルの多くは、そもそも契約期間や解除条件が口頭のまま曖昧になっていることから生じます。フリーランス新法では業務委託の取引条件を書面等で明示することも義務付けられており、契約期間・更新の有無・解除の条件をあらかじめ明確にしておくことが、後々の「言った・言わない」を防ぐ一番の備えになります。取引条件明示書がもらえていない、内容が曖昧なままという方は、無料の作成ツールでたたき台を作っておくと安心です。
まとめ
6か月以上続く業務委託は、原則30日前までの予告なく打ち切られるべきものではありません。予告なく終了を告げられた場合は、まず事実関係を記録し、書面でのやり取りに切り替えることが第一歩です。そのためにも、契約期間や解除条件を含めた取引条件を、日頃から書面で残しておくことをおすすめします。
出典(一次資料)
- 特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(令和5年法律第25号)第16条(解除等の予告) — e-Gov 法令検索
- 同法第13条(継続的業務委託の定義)・同法施行令(令和6年政令第200号)第3条 — e-Gov 法令検索
本文の説明は上記の条文を分かりやすく言い換えたものです。制度は改正されることがあるため、最終的な判断は原文をご確認ください(参照日: 2026-09-25)。